2010年7月5日月曜日

なぜ、気付いたか。

私が、どうして息子の状況に気が付くことができたのか。
そのことを、ちょっとだけまとめておこうと思います。
実際、良く聞かれるので。

ウチの息子の場合は、何かの機関から指摘を受けて診断をしてもらった訳ではありません。
私から自発的に「どうしたって、おかしい」そう言ってスクールカウンセラーに面談を求め
そこから、現在のセンターを紹介してもらって…、そういった経緯で今に至ります。


何人かのママ友達に言われました
「気が付いたのが早かったよねぇ」と。
単純に「自発的に気が付くことができた」という部分では、そうだったかもしれません。
ただ現実的には、早かったのか遅かったのかという点については、ハッキリ言って良く分かりません。
実際に、センターに通ってみると、本当にいろいろな方にお会いします。さまざまな症状を抱えたお子さんと親御さんたち。
ですが、みなさん本当に小さなお子さんを抱えた方が多いんです。幼稚園もしくは、その前くらいのお子さんがほとんど。
「自閉症スペクトラム児」の勉強会に出席していても、小さなお子さんを抱える、親御さんたちの方が多いように感じます。
なので、もっと幼い頃に診断されるお子さんはたくさん居るのだなぁ、とそう思います。

息子の今回の診断にあたって「今までに乳幼児健診などの際に、保健所などで何か言われたことは一度もなかったですか?」と
問診やカウンセラーの先生や、そういう方たちには何度も聞かれました。
まあ、なんと言うか「本当に何もないの?」と、そんな不安な気持ちを抱えながら乳幼児健診を過ごしてきていた私としては
「それは、こっちが聞きたいわいっ!」と、そういうのが本音ではありますがw

そして、医師からの診断が下った時のこと。
私は「治療や訓練方法など…例えばそういう物をこのセンターでは、何か行っていないのか」と、そう聞いてみました。
すると医師の答えは
「もう少し幼少期なら、プログラムもあるんですがね。このくらいのお子さんには、ないんです」
と、そう返事が返ってきたのです。そう言われれば、やはり私の口から出てくる言葉は
「私がもっと早く気付けば…」と、そうなるのですが、それに対する医師の答えは、こうでした。
「いや、これは普通は気が付かないです」と、ハッキリそう言われました。
じゃぁ、どうしろって言うんだよ! とw ついツッコミたくなりますが、そこについては
現在、私が実践中なので、ここではちょっと省きます。

さて、前置きが長くなりましたが
「ではなぜ、そのような状況に居ながら私が気が付くことができたのか」
それは「私が、そうだから」

息子の診断の際に、臨床心理士の方に言われました。
「彼は、かわいらしいし雰囲気がいいよね。だからその分、周りも期待するんだろうね
(この場合の期待とは、定型発達児としての対応を望まれるという意味です)。
ふざけたり、遊んだりそういうことが一緒にできると周りからは思われる。
ところが本人は、比喩や冗談がまったく理解できない。言われたことを言われた言葉どおりにしか理解できない。
彼の悩みは、その分、大きいだろうねぇ」と。診断後の開口一番に、そう言われたんです。
この時に思ったのです「ああ、やっぱりそうだ」と。

私もずっと言われ続けてきました
「どうして、できないのか」「どうして、こんなことも分からないのか」と。
きっと親は
「こんなことも理解できないなんて。
人として生きていく上で基本中の基本とも思えるような。
こんなこともできないなんて、この子は大きくなったらどうなってしまうんだろう。今のウチからしっかりと」
きっと、こんな風に思ったことでしょう。そして、私に必要以上に厳しくしたのかもしれませんね。
躾ですね。
それにしても「基本的なことが何も分かってないのに、細かいことにだけは、どうしても拘りたがる」
おまけに、余計なところだけ妙に記憶力が良い。たまに感性っぽい変わった発言をする。
それは親は、私の扱いにさぞ手こずったことでしょうw
しかも第一子だったしねw


私だって、息子のことは心配です。
「こんなんでは、将来どうやって…」そう思ったこと、たくさんあります。
でも、一番大事なのは彼が幸せになれるかどうかであって、彼が誰かを(大切な人を)幸せにすることができるかどうか。
ただ、それだけなんです。


「こんなこともできないなんて、自分はダメな人間なんだ」と、そう心に重い荷物を抱えながら大人になってしまったり。
「本来の自分を偽ること」で、世間や周囲との距離や組み合わせを計ることばかりを身に付け、すっかり習得したつもりになっても
ふと気付いたら自分の中に自分がなにもない現実に突きあたったり虚無感を覚えたり。


この子に、そんな思いをさせてはいけない。
こういう思いを抱えて育てば、いずれ心を病みます。それは本人にとっては大変に辛いことではありますが
言い方は悪いですが、病むだけでは済まないということも起こりうるでしょう。
自暴自棄になり、自分を傷つけたり。
誰かを攻撃したりして、犯罪にだって手を出してしまい兼ねない。
ましてや、人さまの心や体を傷つけたり、命さえも無残に奪ってしまうような、まさかそんな大人に。

そんな犯罪者のように、人さまに迷惑を掛けて歩くような、
そんな大人になってしまったら。私は、そんな人間を世の中に送り出すつもりなのか。
本気で、そう思い震え上がりました。

かなり悩みました。
「そうは言っても、まだ子どもなんだから」
「子どもなんて、みんなそうだよ」
「男の子だからねぇ」
「ウチの子だって、同じだよぉ~w」

「自分の子どものことを“おかしい”と言うだなんて…」
「大切にしてないんじゃないの?」
「愛情が、足りない?」

息子のある出来事を境に、真剣に悩むようになり相当に追いこまれていた時、
たまたまつけたテレビの放送大学。そこで取り上げられていた「スクールカウンセラーの一日」を観て
もう、藁をも掴む思いでした。
小学校から貰ってきてある手紙をひっくり返して「居たはず、ウチの小学校にも居たはず」
翌日には、学校に電話をしてアポイントメントを取っていました。
正直、この時の私には自分も彼と同じであるだなんて、そんな認識はできてなかっただろうな、とそう思います。
なんとなく漠然と「何かとてもイヤな感じ」それを感じていただけなんだと思う。実際、別のことも考えていたしね。
でも、彼の障害のことを調べたり、センターで勉強会に出たり、そんなことを繰り返すウチに
最近になって「ああ、やっぱりそうだよな」そんな風に思うのです。


そんなこんなの私の「気付き」でしたが、今でも勉強会に出ると必ず講師の先生がおっしゃいます。
「私がこうやって授業をするとね“先生、お話を聞いていてウチの主人も、そうじゃないかと思うんです”
とか“先生、私も同じようにできない(コトが多い)んです”そうおっしゃって、相談に来られる親御さんが非常に多いです。
つい先日も、50代でアスペルガーと診断された方、いらっしゃいましたねぇ。そういう方には…」と。
毎回、授業のどこかで必ずこのフレーズをお話になるので、よほどそういう親御さんが多いのでしょう。


発達障害は、その原因が分かっていないそうですが、定型発達の人と比べて「脳の構造が違う」と
どうやら、そんなところまでは分かっているようなので、やっぱりこれは「遺伝子」。
それは、否めないんだろうなぁ…と、そんな風に思うのでした。

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